業務を止めない循環棚卸と業務を止める一斉棚卸のメリット・デメリットについて

2018.10.25物流記事一覧
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物流倉庫、通販倉庫などでは必ず「棚卸」が定期的に行われています。

実際の商品ストックをバーコードスキャン、またはカウントし、理論上の在庫と照らし合わせ、差異が無いかを確認する作業で、理論上の在庫とのずれを確認でき、見つからない紛失ロス商品なども判明します。

この棚卸は数年前までは一度作業をストップさせ、全商品を一気にスキャンするという「一斉棚卸」という方法が主流でしたが、通販倉庫やコンビニなど24時間365日可動している企業が増えてきたため、業務を止めず行う「循環棚卸」を選択する企業の割合が、通販業界の成長に伴い増えてきました。

循環棚卸とは?

循環棚卸とは読んで字のごとく、商品在庫数や場所をチェックするスキャンを常に行い続け棚を移動し続ける棚卸方法となります。

今現在スキャンをしている棚の在庫のみ入出荷をストップさせ、その棚のスキャンが終了すれば入出荷を再開させ、棚卸スタッフは次の棚へ移動するという方法です。

例えば棚1台分の商品をスキャンするとしたら、その棚のカウントが終了しデータ上の理論上と照らし合わせ、差異の追求が完全に終了するまで実在庫数を変えることを禁止します。

間違いが無かった、または在庫の差異を修正しその棚の在庫が確定すれば、通常業務の入出庫を再開させます。

そして次の棚をまたストップさせ棚卸を再開するという手順を繰り返し、企業によって異なりますが一定の期間で全在庫を1周回るように棚卸して行きます。

棚番号順に行うところもあれば、よく商品が動く棚からランダムに行なったりする企業もあり、常にいつ棚卸をしたのかというデータはロケーションごとにデータ管理されています。

在庫数、棚卸スケジュールなどがコンピューター上で管理されている現代だからこそ可能な棚卸方法であると言えます。

そのため最新のコンピューターでの在庫管理を用いた企業は循環棚卸を行い、中小規模の店舗や古くから存在する倉庫は現在も一斉棚卸を行っている傾向にあります。

一斉棚卸とは?

一斉棚卸は、通常業務を完全にストップさせ一度に全在庫をスキャンする方法で、一年に一度、半期や四半期に一度となど期間を決めて行います。

棚卸のために店舗や倉庫を休む、または半休する企業はこの一斉棚卸を行っていることになります。

かつてはこの棚卸方法が一般的であり、一日、又は深夜の時間帯などを使って人員を確保して行うのが主流でした。

基本的には倉庫や店舗全体を休業させ、責任者があらかじめスタッフ人数を確保しスキャンする棚を事前に割り振り当日一斉に作業を開始します。

進捗が遅れているところは早く終了した場所のスタッフがヘルプに入るなどしてなるべく迅速に終了させ、その後は差異の追求を行います。

終了時間が決められているため、全体のカウントはなるべく早く終わらせ、データの照らし合わせの時間をなるべく確保することが大切です。

循環棚卸のメリットとデメリット

循環棚卸の最大のメリットは通常業務をストップさせずに行えるという点で、多くの通販倉庫、コンビニなど24時間営業の店舗などで採用されています。

棚卸を行うために1日全ての実務をストップさせるとなると、1日分の売上丸々が棚卸の経費としてマイナスになってしまうということで、循環棚卸は経費削減面でとても助かる作業方法なのです。

また一部分だけ常に棚卸をし続けるため、一斉棚卸よりも少ない人員で回すことができ人件費削減という面でもメリットがあります。

一斉棚卸の場合大掛かりな作業になり、普段働いている人員では足りず日雇いの派遣スタッフを雇ったりすることも多いため、経費がかなりかさんでしまい人件費に関しても循環棚卸の方がメリットであると言えます。

ただ、この人件費に関しては、常に棚卸用の人員を確保しなければいけないといけないため、急な退職などでスタッフの人員が減ってしまうと作業効率が著しく低下し作業が遅れやすいということはデメリットと言えます。

さらに循環棚卸は一番古くスキャンした棚は一斉棚卸よりも期間が空いてしまうので、その棚の在庫が一斉棚卸よりも狂いやすいというデメリットも存在します。

一斉棚卸のメリットとデメリット

一斉棚卸は棚卸日に必要人員を割り出し確保すれば一日ないし短期間で終了するため、前もって人件費の計算がしやすく、短期間で一気に倉庫全体の棚卸を確定させることができるのがメリットです。

また、前回の棚卸から全ての棚は同じ期間を経てスキャンされるため、在庫の差異があった場合、どこで間違いが生じたのかを追求がしやすいのです。

しかしながら一斉棚卸は常に大掛かりになるため一定期間全在庫の出し入れを完全にストップさせる必要があり、大型の通販倉庫などには不向きです。

また、商品管理がずさんだったり前の一斉棚卸からの期間が長かった場合一度に大量の差異が出てしまい、原因追求や修正にかなりの時間と労力を要してしまう場合もあります。

さらに一斉棚卸は一度に大量の人員を管理しなくてはならず、棚卸業務に慣れていないスタッフなども多く参加するため、同じ棚を二度スキャンしてしまったり、1棚丸々スキャンされなかったりといった人為的ミスが出る可能性が循環棚卸よりも高く、作業が大幅に遅れてしまう場合もあります。

作業が遅れたりミスにより差異の修正が多くなった場合、循環棚卸とは違い棚卸終了時間が決められているため、原因追求を行う責任者にはプレッシャーがのしかかってきます。

通常業務をストップさせている時間が決まっているため間に合わず、見つからない商品を損失として計上してしまい、後日商品が発見されてしまうなどということも一斉棚卸ではよく起こることなのです。

循環棚卸を取り入れているamazonについて

大手通販倉庫のamazonは倉庫を24時間可動し続ける必要があるため循環棚卸を行っています。

循環棚卸は前述したように棚卸が完了した棚にまた戻ってくるまでに長い期間を要するため一般的には一斉棚卸のほうが倉庫全体の差異が少ないのですが、amazonは循環棚卸の精度を高めることに成功しています。

amazonの日本国内の各倉庫には、在庫捜索、棚卸専用のチームが出荷部門内に設けられており、毎日何台かの棚をスキャンし、理論上在庫とのズレが無いかをチェックし循環棚卸をしています。

専用のチームを作り慣れない日雇いスタッフなどを失くすことで少数精鋭の作業に慣れた人員で回すことができるため、制度が高くかつ効率良く棚卸を行っていくことができます。

他の部署の人員も棚卸作業に参加することが無いため、通常業務に支障をきたすことなく、制度の高い棚卸を行うことが可能となりました。

amazonの循環棚卸はコンピューターが選別、指示をしランダムに棚をスキャンしていくのですが、まだ棚卸されていない場所の選別だけでなく、一年間でちょうど倉庫内全ての棚がチェックされるかの進捗状況も管理されているため、スタッフはその指示に従い一日に決められた場所で決められた量の棚卸を行います。

商品の数量とロケーションはもちろんのこと、商品状態、不良品になっていないかも目視確認されるため常に理論上在庫と実在庫がほぼ合っている状態を保っています。

在庫数には絶対の自信があるamazonは在庫数に余裕をもたせるということを行っておらず、サイト上で在庫が1と表示されるものは予備もなく実在庫も確実に1点となっており、制度の高い循環棚卸が実施されていることが分かります。

おわりに

棚卸業務は会社の経営に欠かせない在庫金額、すなわち企業の資産、そして実務には欠かせない実在庫の数が明確になるためとても重要な業務です。

循環棚卸も一斉棚卸も、商品をカウントして現在の実在庫数を割り出し、それを理論上在庫と照らし合わせ、差異の原因を追求し正しい在庫を確定するという基本の作業は同じです。

しかしその企業の在庫数の規模や商品形態、人件費も考慮し一斉棚卸にするのか循環棚卸にするのかを選択する必要があるのです。

企業は棚卸方法を選ぶ前にそれぞれのメリット、デメリットをしっかり把握しておく事が大切です。

タグ : マーケティング
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DM Watch 編集部

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ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引9,000社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。