物流コストの計算方法と物流ABCの活用方法について

2018.05.01物流記事一覧
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物流業界にかかわらず、ビジネスの世界で問題が発生すれば、最重要事項は現状把握です。問題の根本が把握できないと、企業の繁栄にも影ができます。そこで、現状認識を行う有効な手法として「物流ABC」を正しく理解するのは大切です。

ところで、問題の根本を把握するための「物流ABC」とは、何でしょうか。ここで、問題の把握と物流コストを計算する方法として解説していきます。

「物流ABC」とは

「物流ABC」。このABCは、Activity-Based Costingの英語の略で、企業においては「活動基準原価計算」と言われています。これを物流業に適用すると、物流に関係する活動基準原価計算を理解することになります。つまり、この物流ABCにより、コストを発生させる作業ごとに、その原価を把握しトータルで管理していくというものです。

さらに、物量を個別に把握するだけでなく、各物流業務における適正な評価とともに、最善と思えるコストで、業務を進めていくことを可能にするものです。ですから、企業としても、企業内の各部門においても、物流の原価や流れを把握するのに効果があります。

物流ABCを活用することで変わる流れ

コストを営業利益や会計処理としてだけ考えるのではない「物流のABC」。物流ABCにある「A」のActivityである作業内容を細かに分析し、商品ごと、顧客ごと、仕事の方法ごとに分解して、どこでコストが発生しているか、どれだけコストがかかっているかなど、コスト発生のメカニズムを把握する方法のひとつです。コスト管理を包括的に行ってしまうと、問題が発生したときに改善ポイントが見つけにくいことがあります。そのため、採算管理にも役立つ物流ABCを順に進めていくのは、貴重なことといえるでしょう。

さらに、物流ABCの検討や分析は、コストが上がっている理由、作業方法や在庫保管場所、所要時間、作業員数、労働環境、環境温度等などまで、顧客ニーズに合わせた物流コストを知ることにもつながります。さらに、無駄なコストをかけていると思われるサービスや、商品、作業条件など、改善の手掛かりを発見することが可能になるでしょう。

物流ABCを算定する方法

物流ABCを進めていくには、まず「物流ABC」の算定の仕方を学んでおきましょう。「物流ABC」の算定の手順と活用法は以下になります。

1.物流ABCの目的を考える

物流ABCを算定するのは、その目的によって分析の意味が変わります。たとえば、分析をするための調査対象、分類する種別、分析方法、目的に対する分析精度など、ABC算定の目的を明確にしましょう。

たとえば、作業の効率化を前提として、物流センター内での在庫の改善を目指すとします。この場合、在庫している商品が、どこの企業に関係するものか、在庫している商品は何か、その商品をどこまで細分化もしくはコンパクトに在庫できるか、などを考えることによって、コストを把握する足掛かりがつかめます。

2.作業内容を設定する

次に、作業内容、つまり物流施設内において、必要とされる活動に何が必要か、何を行うべきかを設定します。これには、通常行う活動であること、作業イメージができるものであること、マニュアルなどで共通認識を持てる内容にすることなどが関係しています。

3.投入要素ごとに必要なコストを把握する

物流に関する「投入コスト」とは、対象の倉庫において物流の在庫や保管を行う際に、実施投入している要素全体を意味します。たとえば、倉庫で保管している商品の支払運賃がいくらかかったか、保管や積み込み作業でどのくらいの時間や人材が必要だったか、といった投入要素ごとの原価計算になります。そこで、経理データを基に、何をどの程度使用しているのか、投入要素ごとにコストを集計し把握することが必要です。

4.作業内容ごとに分解し把握する

投入要素ごとのコストがわかったなら、作業内容ごとに分解するのが次のステップです。これには、作業内容ごとに、作業時間、使用面積、設備の使用時間、消耗品等の使用量など、細かく分解し、分析することが含まれます。

これは、作業内容において、ピッキングに始まり、検品や梱包、値札付けなどの作業が、どのくらいコストがかかっているかを明らかにするものです。こうした細かな分解と分析により、単価やコストや時間について把握することができ、業務が混雑しやすいときに、作業員を何人用意するかなどを算出することが可能になります。

5.作業内容ごとに原価を算定する

3~4にかけて行った作業内容と投入要素ごとのコストを合わせて、作業内容の原価を算定します。

6.作業内容ごとに処理量を把握する

処理量は作業内容ごとに変わってきますが、その作業内容に合わせて、何を処理量として設定するのかを決めることになります。ポイントは、この作業内容ごとのコストは、何に関係して増減するかを見極めることが大切です。さらに、処理量の調査を現場(在庫や保管を行っている倉庫)で行うことも必要です。ここで作業する内容が把握するために、伝票に基づいて集計したり、実測したりすることが必要になります。

7.作業内容の単価を算定する

各作業内容の原価や処理量を算定したなら、その作業内容の単価を計算します。「作業内容原価÷処理量=作業内容単価」が算定できます。

8.目的(上記1)ごとのコストを算定する

作業内容ごとの単価を算定したなら、「1の目的」に沿って、作業をする目的ごとのコストを把握しましょう。

「物流ABC」により業務効率を最大限にする適正配置

業界知識が必要でプロフェッショナルな作業が必要になる「物流業界」では、補充として作業員投入したり、人事の組み替えを行ったりするのは、難しいことがあります。そのため、倉庫作業者や作業主任者など、コア業務の場合は、作業の簡素化や省力化が好ましいでしょう。そこで必要になるのが「物流のABC」になり、各業務の検討を行うことが必要になります。

物流業において、業界知識があまり求められない作業であれば、若手もしくは新人に任せることのできる業務に含まれるでしょう。しかし、人件費は、コア業務を行う人より低いとしても、作業を明確にしなければなりません。重要度の高くない仕事など、メール送信や定型資料作成など、かんたんな業務であれば、作業内容に応じて自働化ツールなどを使用する方法もあります。コスト削減や人手不足対応として、可能な範囲で倉庫運営を行うことができるようになるのです。

業界知識が不要な場合、専門性が低い作業もしくは専門性を必要しないと思われる作業には、アウトソーシングなどの管理や、アウトソース対象として進めてしまうことも可能です。アウトソースにしてしまうことで、本来中心にすべき、コストや利益にかかわるコア業務に注力することができます。さらに、業務知識が不要な場合には、社員でまとめることは不要という判断をする企業も多数あります。これも当然の判断です。パートや派遣社員、必要に応じて機械による自働化なども進めることができます。

おわりに

「物流ABC」では、物流活動ごとにコストの単価や合計を算定し、適正な業務配分と人材の配置が可能になります。あまりにも細かく作業を分類してしまうと、細分化による負担も発生します。

そこで、部門ごとに、「物流ABC」による数値を算定することで、物流コスト上昇の責任部署を明確にし、コスト軽減のためにどの部署がどのようなことをすればよいのかを明確にすることができます。

また、物流業務内の無駄を省きながら、グレーになっていた部分を明確にすることができるかもしれません。

 

タグ : コスト削減
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DM Watch 編集部

DM Watch 編集部

ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引9,000社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。