適正在庫とは?適正在庫の計算式と管理方法

2019.09.05物流記事一覧
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販売や製造、物流を行っている事業者が頭を悩ますポイントの一つが「在庫」です。

モノを販売・流通させていく上で、在庫は欠かせないものですが、多すぎると余計な経費がかかってしまったり、少ないと販売機会を損失してしまったりします。

今回はそんな悩みを解決するための考え方の一つ「適正在庫」についてご紹介していきます。

適正在庫とは?

「適正在庫」とは、モノの在庫を適切に管理するための概念・考え方の一つです。

在庫は、持っているだけでは利益になりません。先に述べたように、在庫が多すぎると、仕入れコスト・管理コスト・廃棄コストなどが発生してしまいます。しかし、少なすぎるとそれによる商機損失になってしまいます。

過剰在庫によるコストと、欠品・品切れによる商機損失のバランスを取り、さらにさまざまなコストを考慮したうえで、最適となる在庫数を「適正在庫」といいます。

在庫切れを起こさない範囲で、ギリギリまで在庫を減らすことは、企業のキャッシュフローを健全化し、売上を最大化するために非常に重要です。

適正在庫の求め方、計算方法

では、適正在庫はどのようにして求めるのでしょうか?適正在庫を計算するうえで重要になってくるのが、「リードタイム」と「安全在庫」です。

まずは、この2つをみていきましょう。「リードタイム」には主に三種類あり、それぞれ「発注リードタイム」「製造リードタイム」「出荷リードタイム」です。

発注リードタイム 材料を発注してから、工場に届くまでにかかる日数(時間)
製造リードタイム 生産開始から完了するまでにかかる日数(時間)
出荷リードタイム 製品を出荷してからお客様のもとに届くまでにかかる日数(時間)

これら3つを足した時間が、工場内においてモノがお客様に到着するまでにかかる時間であり、合わせたものを「総リードタイム」と呼びます。

次に「安全在庫」についてです。「安全在庫」は、需要変動などの不確定要素による欠品を防ぐための在庫のことです。

例えば、1日の平均注文数を10個とします。1日10個在庫を持っておけば、10個の注文はカバーすることが出来ます。しかし、11個の注文が来た場合には、1個足りなくて機会損失をしてしまいます。そこで、5個余計に在庫として持っておくことで、機会損失を防ぐことが出来ます。

安全在庫は以下の係数により求めることが出来ます。

  • 安全係数
  • 使用量の標準偏差
  • 発注リードタイム
  • 発注間隔

安全係数は、欠品をどれくらい許容するかにより決まる数値で、以下のように決まっています。

欠品許容率 1% 5% 10% 20% 30%
安全係数 2.33 1.65 1.29 0.85 0.53

欠品許容率が1%の場合、1%の確率で欠品する可能性を許容するという意味です。よく使われる数値は5%で、安全係数は1.65です。

使用量の標準偏差は、過去の使用量から求めます。発注リードタイムと発注間隔は言葉のままの意味です。

上記の係数を使用し、安全在庫は以下の計算式で求められます。

安全在庫 = 安全係数 × 使用料の標準偏差 × √(発注リードタイム + 発注間隔)

適正在庫を求める際には、上記の安全在庫のほかに、経営戦略上の在庫もプラスした「クッション量在庫」を使うことが多いです。

安全在庫は需要の変動を計算に入れた最低限の在庫を意味しますが、あえてそれよりも多めに在庫を持つことで、売上増加を進めることも大切です。

クッション量在庫 = 安全在庫 + 経営戦略上の在庫

と覚えておきましょう。

さて、リードタイムと安全在庫について理解したところで、本題の適正在庫についてです。

適正在庫は、以下の公式によって算出されます。

適正在庫 = (総リードタイム ー 要求納期の日数) × 1日の生産量 + クッション量在庫

順番に意味を見ていきましょう。

まず要求納期とは、お客様が望んでいる納期のことです。

そもそも「要求納期 > 総リードタイム」の場合、在庫を持つ必要はありません。なぜなら、お客様が注文してから製造を始めても納品に間に合うためです。注文を受けてから製造する、オーダーメイドスーツ等はこの公式に当てはまりますが、ほとんどの場合は、「要求納期 < 総リードタイム」です。つまり、総リードタイムー要求納期の日数分の在庫を持っておく必要があります。

しかし、上記の在庫分だけだと急な需要に応えることが出来ず、販売機会損失を起こしてしまいます。そこで、これに先程のクッション量在庫を足すことで、適正在庫を求めることが出来ます。

例えば、この工場は一日に100個の製品を作ることが出来ます。顧客からの要求納期の日数が10日だとします。そして、工場の総リードタイムは20日だとします。この場合、10日間足りていないので、10日分の在庫を確保していなければいけません。つまり、10日 × 100個 = 1,000個の在庫を最低限確保しておく必要があります。また、これだけだと機会損失になる可能性があるため、クッション量在庫として、500個余計に在庫を抱えておくとします。

すると、適正在庫は下記になります。

適正在庫 = (20日 ー 10日) × 100個 + 500個 = 1500個

適正在庫を保つためのポイント

さて、適正在庫の求め方が分かったところで重要になってくるのが、しっかりと在庫を管理し、適正在庫になるように保つことです。

適正在庫を保ち、経営をより良くしていくには、どのようなことが必要でしょうか?

以下で代表的なポイントを紹介していきます。

在庫を減らす

適正在庫を求めた際に、多くの会社では在庫が過剰になっていると思います。

そこで、まずは抱えている在庫を減らして、適正在庫に近づけることから始めましょう。

最適な発注方式をみつける

在庫が過剰になってしまう原因の一つが、発注時にあります。

発注方法には、主に以下の2種類があります。

定期発注方式

定期発注方式は、例えば毎月1日に発注する。というように発注間隔を一定にして発注する方式です。発注量が毎回変わるため、発注の手間はかかりますが、需要変動に対応しやすいというメリットがあります。

定量発注方式

定量発注方式は、在庫量がある一定の値に達した際に、一定量を発注する方式です。発注量は変わらないため、発注の管理が楽な一方、在庫が増えやすいというデメリットがあります。

定期発注方式は、単価が高いもの、需要変動が大きいものを管理するのに適しています。一方、定量発注方式は、単価が低く、需要が安定しているものに適しています。

両方をうまく使い分けることが重要です。

正確な需要予測を行う

そもそも在庫は、入庫と出庫のタイミングや量が違うため、発生します。つまり、入庫・出庫のタイミングと量を正確に予測出来れば、在庫は限りなく少なくすることが出来ます。そこで、需要予測が重要になってきます。

需要予測はいくつもの方法がありますが、非常に難しいです。近年では、AIを用いた需要予測なども出始めています。

上記のポイントを抑え、適正在庫を保つようにしましょう。

おわりに

現代では、時代の流れが速くなり、次から次へと各社の新商品が出ています。そんな時代だからこそ、需要を予測し、在庫をなるべく抱え無いことが重要になっています。しっかりと適正在庫を把握しコストを抑え、事業運営をしていきましょう。

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DM Watch 編集部

DM Watch 編集部

ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引9,000社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。