マーケティング手法の1つとしてダイレクトメール(以下DM)を検討している方はいるのではないでしょうか?
実はDMには様々な形状があり、それぞれ特徴が異なります。また、送るまでにも様々な工程があります。
そこで今回は、DMの基礎から送付するまでの一連の流れについてご紹介します。
1 ダイレクトメール〈理論編〉
1.1 ダイレクトマーケティングとは?
1.2 ダイレクトメールとは?
1.3 ダイレクトメールの機能とは?
1.4 ダイレクトメールの種類
1.5 ダイレクトメールのメリットは?
1.6 ダイレクトメールのデメリットは?
1.7 ダイレクトメールは時代遅れのマーケティング手法…?
2 ダイレクトメール〈実践編〉
2.1 発送するリストを選定
2.2 デザインを決める
2.3 用紙・封筒サイズを決める
2.4 紙質を決める
2.5 テキスト内容を決める
2.6 印刷をする
2.7 ラベル貼り・封入作業をする
2.8 送付・発送する業者の確認する
2.9 発送代行会社とは?
3 おわりに

ダイレクトメール〈理論編〉
売上をアップするためのノウハウについてご紹介する前にまずはDMの基礎についてみていきたいと思います。
ダイレクトマーケティングとは?
DMを見ていく前にまずはダイレクトマーケティングについてみていきましょう。
ダイレクトマーケティングとは、「企業が顧客と直接コミュニケーションを図るマーケティング」のことです。
テレビCMや看板広告などのマスマーケティングは、不特定多数の消費者に対して商品を売る、いわゆるプッシュ型のマーケティングですが、一方で、ダイレクトマーケティングは個人に対して顧客の発見から育成や維持を行う、いわゆるプル型のマーケティングとなっています。
つまり、個人ごとの属性や状況などに合わせた施策を行うことで、より効果があるマーケティングが期待できます。
そして、ダイレクトマーケティングにはDM以外に下記のような種類があります。
- 雑誌・新聞広告
- 折込チラシ
- メール
- 電話
- ソーシャルメディア
- インターネット広告
- オウンドメディア
ダイレクトメールとは?
ダイレクトマーケティングの中でも、DMは、個人や法人宛に送付される、商品カタログやキャンペーン案内などを指します。
英語にするとDirect-Mailとなるため、こちらの頭文字を取りDMと略されることが多くあります。
DMを送る目的な様々で、売上の向上、お問い合わせや購入の増加、既存顧客との関係性の構築などが当てはまります。
ダイレクトメールの機能とは?
では、DMにはどのような機能があるのでしょうか?
アメリカのダイレクトメール研究家ヘンリー・ホークによると6つの機能があると言われています。
- より効果的な、パーソナルな関係を作り出す(=セールスマンの支援)
- 見込客を目的の場所に連れていく(=小売店などの支援)
- PR(パブリック・リレーションズ)やイメージの向上(=顧客との関係づくり)
- 郵便によって現実の注文を取る(=メール・オーダー)
- 見込客の行動を確保する(=資料請求)
- リサーチ及び市場調査
このようにDMはただ単に見込み顧客への購買行動を促すためではなく、顧客との関係作りや市場調査などの分析も可能になるのです。
ダイレクトメールの種類
DMには様々な機能がありますが、DMの種類も様々あり、目的に合わせて使い分けることができます。
通常ハガキDM | セミナーや店舗のイベントなどの集客目的に適している |
---|---|
往復はがき | 新規顧客開拓用の資料請求やアンケートなどの目的に適している |
大判ハガキDM | 豊富な情報を掲載でき、様々な用途に適している |
圧着ハガキDM | 不動産などの高額商品や法人向けサービスなどに適している |
封書DM | 多くの資料を封入できるため、様々な用途に適している |
変形DM | 強烈な印象を残すDMを送りたい際に適している |
上記についてはあくまでも参考例になり、「この場合はこのDMを利用すれば必ず成功する!」と法則はありません。目的や用途、記載する商材内容や情報量などによって最適な形状は異なります。そのため、まずはそれぞれの特徴を抑えて、施策に適したDMを選ぶようにしましょう。
⇒ハガキ(官製、往復、圧着など)の種類とビジネスでの効果的な使い方
⇒往復ハガキの書き方・送り方やマナーについて
⇒ビジネス文書で使うハガキの書き方、例文、マナー
ダイレクトメールのメリットは?
では、次にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
ターゲット層に合わせてアプローチ内容を変えることができる
お客様になる人や企業を大きくカテゴリー分けすると、顕在層、準顕在層、潜在層の3つに分類することができ、このターゲットに合わせて訴求したい内容を変えることができます。
例えば、下記のような手法を取ることができます。
顕在層 | 顧客との関係性を維持するために会員限定特典のご案内をする |
---|---|
準顕在層 | 購入に繋げるためのお得な情報をご案内する |
潜在層 | まずは自社サービス・商品を認知してもらうために商品情報のご案内をする |
このようにターゲット層ごとに訴求したい内容を変えることで売上アップを行うことが可能です。
伝えたい情報量を調整ができる
DMは情報量に合わせて用紙サイズを変更できます。
例えば、簡単にキャンペーンの案内をしたい場合にはハガキ、サービス詳細について紹介したい場合には冊子、多くの商品を紹介したい時にはカタログ、などと伝えたい情報量に合わせて手法を変更することができます。
このように伝えたい情報量に合わせて用紙サイズを選ぶことで的確にメッセージを届けることが可能になります。
反響率の測定ができるためPDCAサイクルを回せる
効果測定の方法が分からずに、送付後の効果検証を行わない方は多いのではないでしょうか?
実は、DMの効果測定を行う方法はいくつかあり、正しく行うことで、効果的な施策を練ることができます。
例えば、以下のような方法があります。
パターン1
分析したい内容
電話でのお申込みをメインとした商材でDMの内容は同じ。しかし、形状を変えた2種類のDMを送付し、それぞれの効果測定をしたい。
分析方法
種類別に申し込み番号を分けて、問い合せの際に申し込み番号を確認し反響率を比較する。
パターン2
分析したい内容
ネット通販会で既存顧客にDMを送り、どれくらいサイトから購入に繋がったか測定したい。
分析方法
QRコードを割り振り、サイトへのアクセス状況を分析する。
このように分析したい内容に合わせて分析方法をしっかりと選択することで、PDCAサイクルを回すことができ、次回以降送付する際に売上アップを測ることが可能になります。
ダイレクトメールのデメリットは?
メリットがある一方で下記のようなデメリットも存在します。
工数がかかる
DMを送付する際には、まずは伝えたい情報やターゲット、そして通数量を決めるための企画を行い、発送物の制作をします。そして、発送物を印刷、封入作業、発送を行うことで作業が完了。その後、反響率や開封がどれくらいであったか効果検証を行い、次回以降の改善策を練る必要があります。
人材・倉庫が必要になる
DMの封入作業を行うためには、封入作業をするための人材が必要になります。
また、人材だけではなく、作業を行うスペース、郵送するまでにDMを保管しておくスペースも必要になります。
コストがかかる
人材・倉庫を準備するためのコストだけでなく、デザインの制作、発送物の印刷、発送料、分析ツール代金など多くのコストがかかります。
送付先のリストが必要になる
チラシなら新聞の折込チラシやポスティングなど行うことができますが、DMは個人・企業へ送付する必要があるため、送付する顧客情報が必要になってきます。
このようにDMを送る際にはメリットがある一方でデメリットが発生します。しかし、このようなデメリットを後ほど紹介する発送代行会社に依頼することで解消することもできます。
ダイレクトメールは時代遅れのマーケティング手法…?
「最近はもうインターネット・SNSマーケティングの時代だからDMなんて古い手法でしょ?」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はそんなことはありません。DMは自社で保有しているハウスリストの顧客に対して伝えたい情報をピンポイントに伝えることができるため、未だに有効な手法です。
さらに、オンライン施策と連携して行うことで高い効果を発揮できるため、業界によってはとても有効なマーケティング手段となる場合もあります。
そのため、まずはしっかりとどのようなマーケティング施策を行うべきか考えましょう。そして、その中でDMによるマーケティング施策が有効なのか考えましょう。
ダイレクトメール〈実践編〉
では、ここからは実際にDMを送る際に必要な作業内容を見ていきましょう。
今回はリストの選定、DMの制作、そして効果測定など1つ1つの手順を見ていきたいと思います。
初めて行われる方は一度全てをご確認していただきたいのですが、既に取り組まれている方は気になる項目のみご確認ください。
発送するリストを選定
DMを送る際のリスト作成はとても重要です。
例えば、弊社のようなDMの発送代行会社はそもそもDMを送っていない、また今後も全く送る予定がない企業に対してアプローチしても意味がありません。つまり、自社サービスに対して「興味がない人」をまずはリストから省く必要があります。
そして、次に先程ほど紹介した潜在層・準顕在層・顕在層にリストを分けてDMを送るターゲット層を考えます。これによりアプローチしたい層が明確になるため、訴求したい内容も明確にでき、反響率が期待できるようになります。
なお、リストを入手する際には以下の方法が有効です。
- ハウスリスト
- 自社や店舗に来られた方から直接聞き出す
- 帝国データバンクなどでリストを購入する
- 自社のターゲットと同じようなターゲットを顧客としている異業種の企業と提携する
上記1と2の2つについては自社で保有するリストになるため、潜在層・準顕在層・顕在層に分類すことで反響率の高いリストを生み出すことができます。一方で下記の3と4の2つについては自社で保有しないリストになるため、潜在層へのアプローチという事になります。
デザインを決める
発送先や発送する業者選定が完了したら、実際に送るDMのデザインを考えましょう。DMのデザインは発送物がそもそも開封されるのか、そしてそれが読まれるのかということに大きく関わってきます。
作成する際にはそのDMが「人の興味を惹く」ということを意識しましょう。「人の興味を惹く」ことは実際のユーザーの感情に落とし込むと「開封したい」や「捨てたくない」と思うようになることです。開封したいと思わすことができれば、ユーザーはそのDMを開封して中身を読んでくれます。
また、「捨てたくない」という感情にすることができれば、後日見直す可能性が高くなるため、送付から時間が経過した後に読み返し、後々購買行動に移る可能性が高くなります。
そのため、まずは「人の興味を惹く」ことを意識してDMを作成しましょう。
用紙・封筒サイズを決める
デザインを決める際には用紙・封筒のサイズも考慮しましょう。「このようなデザインの際にはこのサイズの用紙が一番効果のあるサイズ」というのは存在しません。しかし、先程の「人の興味を惹く」ことに大きく関わってくる要素になります。そのため、「DMを受け取る人の気持ち」を考えてサイズを選ぶ必要があります。
例えば、高齢者をターゲットする場合、用紙サイズが小さくて、記載してある文字サイズもとても小さい場合、これを手にしたお客様は読もうと思うでしょうか?また、「開封したい」や「捨てたくない」という感情になるのでしょうか?きっと中身を見ずに捨ててしまうでしょう。そのため、高齢者へ送付する際には、用紙・文字サイズを大きくするなどの「DMを受け取る高齢者の気持ち」を考える必要があります。
- A4サイズ(210mm × 297mm)
- はがきサイズ
- 長形3号(120mm × 235mm)、洋長形3号(235mm × 120mm)
- 角型2号(240mm × 332mm)
この4サイズは一般的に利用されるケースが多いサイズになります。下記2つは封筒のサイズを表しており、それぞれA4サイズの用紙が入るのにちょうどいい形です。
長形3号は、A4用紙を3つ折りにするとちょうど入るサイズで、角型2号は、A4用紙を折らずに封入できるサイズになります。
「DMを受け取る人の気持ち」と目的を考えて用紙や封筒を選ぶようにしましょう。
紙質を決める
用紙のサイズを決める際には紙質についても考えましょう。紙質は色々な種類があるため掲載する情報内容に合わせて選ぶことは、お客様の「興味を惹く」ことができるのかどうか大きく関わります。紙質を選ぶ際のコツは「DMを出す目的」と「商品の特徴」この2点を考慮することが大切です。
例えば、アパレル関係の企業が新商品に関して認知させるためにDMを送ることにしたとしましょう。アパレル企業が新商品を告知する際には、その商品について「機能面に優れています」や「生地の肌触りがとてもいいです。」とテキストで記載するよりも現物の写真をキレイに載せてビジュアルで訴えることがとても重要です。さらに、発足性の高く、手触りがツルツルなコート紙を利用することで商品をうまくアピールすることができるかもしれません。
このように「DMを出す目的」と「商品の特徴」を考えて紙質を選ぶことで、お客様がその商品に対して「興味を惹く」ようになることを意識しましょう。
紙質の種類については別記事で紹介しておりますので、是非ともこちらをご確認ください。
テキスト内容を決める
デザインと紙についてのポイントを紹介しましたが、特に記載する文章内容は反響率に大きな影響があるためとても重要です。
そこで、まずは下記7つのポイントを意識してライティングしましょう。
- 「一人」に向けて書く
- 読み手が興味あることを書く
- 商品・サービスの「メリット」を伝える
- いきなり売り込まない
- 親しみのある文章で書く
- シンプルに書く
- 具体的に書く
初めてダイレクトメールを作成する際には特に「一人」に向けて書くことを必ず意識しましょう。数千・数万通送る際にはどうしても全員に読んでもらいたいため、「皆様」や「会員各位」など記載するケースが多くあります。
しかし、このような書き方は、受け取った方が「自分宛のDMではない」と感じ、読まないケースがあります。そこで、「△△を1年以上ご利用いただいているお客様へ」や「子育て世代で、転居をお考え中のパパ・ママへ」など受け取った方が自分に向けられている情報であると感じるようにしましょう。
⇒売れるダイレクトメールのキャッチコピーを作る9つのテクニック
⇒【例文も豊富!】ダイレクトメールの挨拶状/挨拶文の効果的な書き方
⇒ダイレクトメールで効果を出すための「お客様の声」の記載方法とは?
⇒ダイレクトメールで購入意欲を高める商品説明のコツ
⇒ビジネスパーソンなら知っておきたい封筒の書き方のルールとマナー
印刷をする
デザインが決定し、用紙が決定したら、印刷を行います。
部数が少ない場合は自社での印刷でもよいかもしれませんが、印刷量が多い場合は印刷会社に依頼することでボリュームディスカウントを受けることができ、安く印刷できるケースがあります。そのため、自身のニーズにあった選択をしましょう。
印刷を外注する際には、印刷物の入稿データ・封筒に印字する宛先リストが必要になります。特に入稿データはその企業の指定の形にする必要もありますので、しっかりと確認のうえ入稿しましょう。
⇒バリアブル印刷とは?DMで利用する際のポイントと活用事例について
⇒オンデマンド印刷とオフセット印刷の違い
⇒失敗しないための印刷会社の選び方
⇒ダイレクトメールの宛名印刷・印字作業を外注して業務効率化する方法
ラベル貼り・封入作業をする
発送前の最後の作業がラベル貼り・封入作業になります。
封入作業で1番注意したいことは発送物と宛先が一致しているかです。発送物(チラシなど)に個人名が掲載しているにも関わらず、その方とは別の方に発送してしまった場合、大きな問題になり、且つ損害が発生することは容易に想像できます。そのため、正確に封入するように徹底しましょう。
送付・発送する業者の確認する
DMの発送業者はいくつかありますが、日本郵便・ヤマト運輸・佐川急便・西濃運輸の4社がメインになります。
⇒ヤマト運輸のクロネコDM便(旧メール便)の規格や料金などの特徴を徹底解説!
⇒佐川急便の飛脚メール便の規格や料金などの特徴を徹底解説!
⇒西濃運輸のカンガルーPostalメール便の規格や料金などの特徴を徹底解説!
今回は、この4社の中から業者を選定する際のポイントについてご紹介します。
金額はいくらか?
発送部数と発送物の重さによって金額が変わってきます。そのため、まずはこの2点をもとに金額を算出しましょう。
また、発送だけでなく、印刷・封入作業などの作業も外注するのか考えましょう。実は印刷・封入作業などをまとめて発送代行会社に依頼した方が全体のコストを下げることができる場合もあるため、コストメリットを出すことが可能になります。
配送スピード・日祝日の対応について
4社の中でも発送スピードは大きく異なるため、しっかりと確認しましょう。
また、日曜日・祝日対応していない業者もあるため、日曜日・祝日に届くようにしたい場合には、注意が必要です。
配送したいモノをそもそも送ることができるのか?
例えばCDなどの電子記録媒体は発送不可、請求書などの信書は発送不可という業者も存在し、中には中身の確認が必要な業者もおります。
そのため、その業者で配送物を送ることが可能かどうか調べておきましょう。
その他に追跡機能があるのか、送付先が転居している場合はどのような対応を取ってくれるのかなども場合によっては必要になってきますので、ニーズを満たしてくれる業者はどこなのか下記の点を参考に選定してみてください。
ここまでDMの企画から送付までについて説明しましたが、「発送代行会社」というDM専門の業者があることを皆さんはご存知でしょうか?
発送代行会社とは?
発送代行会社とは、DMのデザイン・印刷・封入・ラベル貼り・発送物の保管などの作業を行え、発送物を郵便局や配達会社へ持ち込むまでの作業をワンストップで行える会社になります。
発送物を送りたい企業と発送物を送ってくれる発送業者の間に立ちサービスを展開しています。発送物を送りたい企業は、安く発送して利益を多くしたいと考えます。一方で発送業者は発送物を回収する窓口をなるべく少なくして回収作業工数を少なくしたいと考えます。そこで、この2つの悩みを解決するのが、発送代行会社になります。
安く発送できるだけでなく、下記のように様々なメリットがあります。
- 安く発送できるためコスト削減が可能
- 人員削減ができ人件費が抑えられる
- 業務の効率化が可能
- デザイン、印刷、作業、発送をまとめて依頼できる為、依頼業者を分けずに済む
- 作業・保管スペースを確保しなくていい
デザインから印刷、そして封入やラベル貼りの作業までDMの送付までに必要な一連の作業を代行しれくれますので、作業を効率化したい、コストを削減したい方は、是非とも一度検討してみてください。
おわりに
DM市場は年々縮小している一方で、まだまだマーケティングの施策としては有効な手法になります。そのため、まずは顧客ニーズの分析、行うべき手段は何なのか分析したうえで、DMが有効なマーケティング施策であるのか考えましょう。
マーケティング施策の一貫としてDMをご検討される際には、一度ディーエムソリューションズにお声がけ頂ければ幸いでございます。
貴社のマーケティングを最大限ご支援させていただきます。