印刷物で読まれるためのフォントの使い方と注意点

2019.11.18DMの企画・デザイン・印刷記事一覧
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フォント(書体)の種類や使い方によって、印刷物を読んでもらえるかどうかの確率は大きく変わります。もちろん広告の反響も同様。折込ちらしのレスポンス率を上げるため、キャッチコピーのフォントだけを変えてABテストを実施する通販会社もあるほどです。 
この記事では、ダイレクトメール(以下:DM)やちらし、パンフレットなど、おもに広告・販促物を中心とした印刷物に効果的なフォントの特徴と活用法をまとめました。基礎的な内容なのでマーケティング・販促担当の方も必読。デザイナーとのやりとりもスムーズになるはずです。

定番フォントの特徴と活用法

普段なにげなく目にしているフォントも、それぞれ意図や目的があって使われています。まずは広告・販促物の定番フォントの特徴や活用法をご紹介しますので、最適なフォント選びに役立ててください。

明朝体

明朝体

明朝体は和文フォントの代表的存在のひとつ。線の太さにメリハリがあるのが特徴で、縦線に比べて横線が細くなっています。
印象は上品で知的。汎用性の高いフォントではありますが、とくに女性向けや、高級感や「和」を訴求したい印刷物に適しています。

また、可読性(読みやすさ)にすぐれ、長く読んでも疲れないため、長めの説明文や、文字量の多い広告・販促物にも最適です。パンフレットなどの商品説明では、見出しはゴシックで文章は明朝体というセットもよく見かけます。ただし、あまりにもサイズが小さいと線がつぶれて読みづらくなるので注意が必要です。

ゴシック体

ゴシック体

ゴシック体も、明朝体とならんで和文フォントの代表的存在です。線の太さが均一で、視認性(目で見たときの確認のしやすさ)にすぐれ、明朝体に比べると力強いイメージがあります。

そのため、ここぞ!というポイントで使われることが多く、広告のキャッチコピーや文章の見出し、商品価格や申し込み用電話番号の書体に多く使われています。また、小さめのサイズでも文字が判別しやすく、注釈や注意事項など補足的な説明の表記にも最適です。

欧風フォント

欧風フォントとは、名前の通りヨーロッパで発明されたフォントです。日本でも高級感や洗練を訴求したい広告・販促物や、ブランドロゴに使われています。
たくさんの種類がありますが、大きく「セリフ体」と「サンセリフ体」の2種類に分けられます。

セリフ体

セリフ体

セリフ体は、縦と横で線の太さが異なる、和文フォントの明朝体に相当するフォントです。ちなみに「セリフ」とは、線の端についているヒゲのような飾りのことを差します。

数ある欧文フォントのなかでも気品や格調の高さを感じさせるのが特徴。定番ともいえるのが比較的クセの少ない「Garamand(ギャラモン、ガラモン)」というフォントで、Appleの有名な「Think different」キャンペーンのロゴにも使われていました。

サンセリフ体

サンセリフ体

線の太さが均一のサンセリフ体は、和文フォントでいうゴシック体にあたるフォントです。セリフ体と呼び名が似ていていますが、「サン(sans)」はフランス語で「~がない」、つまり「線の端に飾りのないフォント」という意味です。

セリフ体に比べると印象はシンプルでカジュアル。サンセリフ体のなかでも有名な「Helvetica(ヘルベチカ)」というフォントは、Panasonicやevianのロゴに使われています。

袋文字

袋文字

袋文字とは文字のまわりに輪郭(ふち)をつけたフォントのこと。スポーツ新聞の見出しでもおなじみ、とにかく目立つフォントの代表格といえばこれです。

広告では旅行や通販広告のキャッチコピー、価格などに使われています。濃い色の上に文字を乗せるときに重宝しますが、色を使わなくても目立たせることができるので、新聞などモノクロ印刷の広告でも使い勝手のいいフォントです。

手書き風フォント

手書き風フォント

一見手書き文字のようなフォントが手書き風フォントです。印象が薄いように感じられるかもしれませんが、いかにも広告っぽいフォントが並んでいるなかで、逆に目立ちやすいというメリットがあります。

他のフォントよりも「人」の存在を感じさせるので、お客様体験談やお客様の声を用いたキャッチコピーなど、会話調の文章に適しています。売込臭がなく、やわらかい印象なので、キッズ向け商品の広告や販促物にも最適。DMの挨拶状や挨拶文のフォントとしても定番です。

手書き(直筆)

手書き(直筆)

手書き風フォントよりもリアルなのが実際の手書き。厳密にはフォントとはいえませんが、広告・販促物を読んでもらうための効果的な手法のひとつです。

大手通販会社の、「50代・60代・70代の方へ」といったコピーや、商品価格をマジックで手書きした新聞広告をご覧になったことがある方もいるかもしれません。全国展開している大手学習塾で折込ちらしのクリエイティブテストをした結果、もっともレスポンス率が高かったのも、ぎっしりと文章をつめこんだ手書きのちらしでした。活用法は手書き風フォントと同じですが、より温かみがあり、目立ちやすいのがメリット。DMの挨拶状や挨拶文にも効果的です。

「読まれる」ためのフォント活用のポイント

続いて、実際の制作業務や社内チェックにも役立つ、「読まれる」印刷物を作るための文字やフォントの使い方を紹介します。

ひとつの紙面に使うフォント数

一度に多くの種類のフォントを使うと、パッと目にした瞬間にゴチャゴチャした印象を与えてしまい、読みたいとは思ってもらえません。ひとつの紙面に使うフォントの種類は、3種類までがベスト。バリエーションを増やしたい場合は、フォントの種類ではなく、サイズを調整してみましょう。

紙面に対する文字数・図版率

紙面における写真・イラストの面積の割合を「図版率」といいます。図版率が高ければ文字スペースが少ない「見せる」広告、低ければ文字スペースの多い「読ませる」広告になります。ポスターなどビジュアル中心の広告では、50~70%が目安とされています。

文字数・図版率

とはいえ、最適な図版率は商材や広告の目的(ブランディングかセールスか)によって変わるため、「これが正解」という数値はありません。
また、「広告・販促物は文字が少ないほうが良い」といわれることがありますが、それも一概に正しいとはいいきれません。実際、新聞広告では文字がぎっしりつまった記事風広告のほうがビジュアルメインの広告より反響が高いことはよくありますし、便箋4枚にわたる挨拶状を封入した高レスポンスのDMも存在するからです。肝心なのは文字量よりも内容。その上で見やすく・読みやすくデザインすることが大切です。

フォントサイズの決め方

フォントサイズで大切なのはメリハリをつけること。広告やDMなら、パッと目にした瞬間にキャッチコピーや見出しが目に飛び込んでくるように全体のバランスを考慮する必要があります。最適なフォントサイズは紙面のサイズや商材によっても異なりますが、例えばA4サイズのちらしなら、キャッチコピーは50pt以上、本文(ボディコピー)は8~10ptで組むと、伝わりやすいデザインになります。

キャッチコピーを読ませる工夫

キャッチコピー自体のフォントもメリハリをつけると効果的です。助詞(「の」「も」、「てにをは」など)を小さくし、目立たせたい単語を大きくするのがポイントです。

キャッチコピーを読ませる工夫

数字を目立たせる工夫

価格や量など、数字をアピールしたい場合は、「%」「円」「g」などの単位を小さくすることで数字が目に入りやすくなります。

数字を目立たせる工夫

数字とアルファベットはサイズを調整する

見落としがちなのが、数字とアルファベットのサイズ。実は数字とアルファベットは同サイズの他のフォントよりも小さく表示されるため、調整せずに並べると不揃いな印象を与えてしまいます。

下のようにアルファベットとひらがなが混在している文章は、アルファベットのみポイントを上げると大きさが揃って読みやすい文章になります。

数字とアルファベットのサイズ調整

適切な行間

行間が狭すぎると読みづらく、広すぎると間の抜けた印象になります。適切な行間は文字サイズによって変わりますが、一般的には縦組みの場合は文字サイズの50~100%程度、横組みの場合は50~70%程度とされています。

下は行間11ptから15ptに改善した例です。

適切な行間

1行あたりの文字数

広告・販促物の場合、1行あたりの文字数は20文字前後が最適です。多すぎると改行の際に次の行のはじまりがわかりづらく、少なすぎると視線の移動が多くなり文章の意味がつかみにくくなります。長い文章は下のように段組にするといいでしょう。

1行あたりの文字数

字間の注意点

字間(じかん)とは文字と文字とのあいだの空間のことです。字間が詰まっていると引き締まった印象、広いとやわらかい印象になります。

注意したいのが、大きいサイズで「漢字」「ひらがな」「カタカナ」を一緒に使うとき。実はひらがなとカタカナは漢字よりも文字に対する余白が大きく、並べると間延びしているように見えてしまうのです。その場合は、下のようにひらがな・カタカナの字間を詰めると改善できます。

字間の注意点

同様に、句読点「、」「。」や「・(ナカグロ)」、カギ括弧などの記号も字間を詰めると文章の見栄えがよくなります。

全角と半角の混合に注意する

Wordやメモ帳などのテキストファイルを流し込んだ印刷物にありがちなのが、全角と半角の混合です。細かいといえば細かいことですが、ちょっとした違和感が読むのを止めるきっかけにもなるので注意が必要です。とくに混じりやすいのが、数字や「!」「?」などの記号、そしてスペース(空白)です。対策としては「しっかりと見直すこと」しかありませんが、会社として表記ルールを決めておくことが大切です。

おわりに

最後に、フォント選びや組み方の効果的な方法をもうひとつ紹介します。
それはターゲット層がよく読む雑誌のフォントを参考にすること。普段親しんでいるフォントであれば読みづらさを感じることはありませんし、目をとめてもらいやすいからです。女性向けの販促物ではファッション雑誌のフォントを真似て使っているのをよく見かけますが、B to B向けの場合でも、ビジネス雑誌のフォントを使ってみると効果的かもしれません。

そういえば最近、大学や通販会社の広告で、記事の見出しが並んだ週刊誌広告風のデザインを目にしますが、ああいったものも同じ考え方かと思います。
また、当然ながらフォントはデザインとの相性も重要です。ターゲット別デザインについてはこちらの記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。

 

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DM Watch 編集部

DM Watch 編集部

ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引9,000社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。