理論在庫と実在庫の違いと差異が起きてしまう原因について

2018.10.11発送代行記事一覧
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ネット通販業や倉庫業であれば必ず商品の在庫管理を行う必要があります。

在庫とは自社の倉庫にストックされた商品のことですが、これらの業種ではよく「実在庫が理論在庫よりも多くなった、少なくなった」というトラブルを耳にすることがあります。

普段の業務でも棚卸時の在庫チェック時でも起こり得る理論在庫と実在庫の相違、今回はこの差異がなぜ起きてしまうのか、どうすれば差異を軽減できるのかについて説明します。

理論在庫とは

理論在庫とは昔は「帳簿在庫」とも言われており、その商品を目視で数えた在庫数ではなく、今までいくつ商品が入荷され、どこに保管され、いくつ出荷されていったのかという記録を元に数字上で在庫数を表した、いわばデータ在庫です。

例えば同じ商品を1万点入荷し1,000点出荷されていたとすれば出荷後の理論在庫は残りの9,000点になります。

企業の規模や業種によってはただ入出荷だけではなく倉庫内での商品移動、または在庫内で不良品が発覚し在庫からは取り除くという処理もデータに登録する必要があるため、理論在庫は増減します。

実在庫とは

実在庫とは商品を目視で数えた実際に存在する数になり、この数値が理論在庫と完全に一致すれば問題なく倉庫業が行われているということになります。

ほとんどの倉庫やネット通販業では商品を実際にカウントして理論在庫と照らし合わせる「棚卸業務」を決まった期間で行っており、在庫のずれはないか、商品損失やデータ変更漏れは無いかをチェックしています。

なぜ差異が生じるのか

棚卸を行う倉庫業や通販業に携わったことがある人であれば分かると思いますが、棚卸を行うとほぼ必ず理論在庫と実在庫のずれは出てきてしまいます。

現在ほとんどの商品はバーコード管理されており昔に比べ商品管理がしやすくなったとはいえ必ず人が作業しているので、どうしてもヒューマンエラー、ケアレスミスなどは起こってしまいます。

理論在庫と実在庫に差異が生まれる原因は業種によって様々ですが基本的には「カウントのミス」、「データ変更入力のミス」、「作業漏れ」、「棚卸時のミス」、「盗難や紛失」といった原因が存在します。

カウントのミス

これはシンプルに入出荷時や在庫移動時、商品の数を数え間違えて入力してしまった為に差異が発生してしまう事で、例えば30点の入荷と記載された伝票を鵜呑みにしてしまい実際は31点商品が入っていたのにそのまま30点とカウントし入荷データを反映させてしまう。

この時点で理論在庫と実在庫は1点の差異が生じてしまいます。

とても単純な間違いではありますが、何度もこのミスを繰り返してしまうといつの入荷で差異が生じたのか原因を追求することができなくなり、相手先との信用問題に発展する可能性があります。

データ変更入力のミス

実在庫のカウントを間違えるだけではなく、データに登録する際の入力でミスをしてそのまま気付かず理論在庫とのずれが発生してしまうケースも多く存在します。

パソコンのテンキー入力などで異なり数字を入力、または桁数が違っている場合もあり。後に伝票との数字の目視チェックも見逃され理論在庫と実在庫がずれるミスもよく起こります。

また、近年はネット通販関連の出荷が急増しており、購入者のキャンセル処理などが頻繁に行われるようになったため、ピッキングされ出荷される直前の商品をまたストックに戻すと言ったような作業の頻度があがり、データ上在庫を戻し忘れると言ったミスでのずれも多くなっています。

ほとんどの通販倉庫では出荷スピードを上げるため、バーコードスキャナや非接触で商品情報を読み取るRFIDが普及し、注文が入ると即出荷準備に取り書かれるようになりました。

そのため出荷倉庫では日々多くのキャンセル品、ストック戻し品が発生し、商品を戻したのにデータ処理を見落とし在庫の差異が発生してしまうミスも増加しています。

作業漏れ

物理的に商品を入出荷させたにも関わらず、データ変更を忘れていたことで入荷分、または出荷分の数量分の理論在庫と実在庫がずれてしまうミスも多く発生しています。

大きく在庫数がずれ、入出荷伝票の合計数量と同じ数の差異になるケースが多いので、照らし合わせれば比較的見つけやすいミスではあるのですが、入荷時などは理論上在庫が大きくずれてしまい、お客様や相手先に実在庫があるのに無いと伝えてしまったり、在庫が無い商品をあると伝えてしまいクレーム発展するなど信用を失ってしまう可能性もあります。

また、倉庫内で棚から棚へと商品を移動する際のデータ入力、または不良品を見つけ商品を廃棄したときのマイナス登録なども忘れがちになり理論在庫との相違の原因になることがあります。

棚卸時のミス

倉庫内の実在庫をカウントし理論在庫と照らし合わせる棚卸業務でもミスが発生します。

棚にある商品をカウントしたりバーコードスをキャンする作業で棚の端にあった商品を見逃してしまったり、同じ商品を2度スキャンしていることに気が付かなかったりするミスが多く、理論上在庫と合わずに確認作業に時間を取られたり、また差異がある商品に気づけないこともあります。

盗難や紛失

データ上の理論上在庫よりも実在庫が少なく、かつ原因がわからない場合は紛失品、盗難品としてマイナス計上するしか方法がありません。

会社の損害として扱うしか無いため、棚卸で発覚した盗難、紛失扱いの商品を赤字として計上しマイナス分を含めた企業の利益が確定するのです。

差異が生じないために気をつけたいポイント

倉庫業はシンプルな作業が多いためスタッフは慣れてくるとケアレスミスを起こしやすくなります。

ミスを起こしにくくするには「可能な限り1点ずつ確認する事」と「二重のチェック」が重要になります。

1種類の大量の商品が動く場合は例外ですが、商品を入出荷させる場合基本は1点ずつバーコードをスキャンして行うことでミスを軽減することができます。

業務に慣れてきたスタッフは同じ商品だと判断してしまうと端末に数を入力してスキャンすることが多く、似通った商品に気付かないミスを起こしてしまうことがよくあります。

二重のチェックは例えば商品を出荷する場合、ピッキングしたスタッフと出荷梱包時に商品をチェックするスタッフは必ず別の人員を使うようにするといった方法です。

人力で作業を行う場合どうしても思い込みや見逃しが発生してしまうため、特にお客様や相手先に届く直前の業務である出荷時にはダブルチェックを行うことが重要です。

おわりに

通販大手のAmazonの倉庫では各倉庫にQAと呼ばれる在庫調査専門の部署を配置しており、毎日倉庫内の決められたロケーションを棚卸したり、入出荷時のミスの追求や不良品の管理も行っています。

Amazonのホームページに表示される在庫数に関しては予備など全く無く、残り1点と表示される、いわゆる理論在庫が1の商品は実在庫も1となっており在庫管理が徹底されていることがわかります。

また、盗難を未然に防ぐために防犯カメラの設置はもちろんのこと、各スタッフは倉庫内どこを通ったのかがデータ上で把握できるようになっており、商品がストックされている空間は商品を外に持ち出せないよう窓が手の届かない高所に設けられています。

ただこれだけの企業努力を行っても理論在庫と実在庫の差異は人間が作業を行う限り必ず発生してしまいます。

扱う商品に応じたミスを未然に防ぐ対策を立てること、また間違いに早めに気づけるチェック体制を整えておくことが差異を軽減するためには大切なのです。

 

タグ : マーケティング
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DM Watch 編集部

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ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引9,000社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。